甘味屋十兵衛子守り剣シリーズ  幻冬舎/幻冬舎時代小説文庫

下町の朴訥な菓子職人は知られざる手練。上手くいかない武家の商法に悪戦苦闘しつつ
巨悪に追われる美女と少女を護って戦う日々はいつまで続く?

私はお菓子が大好きです。クリーム系も捨てがたいですが、何と言っても一番なのはあんこですね。そんな愛して止まない和菓子と洋菓子が登場させられる作品は書けないものかと考えた末にできあがったのが、幕末の江戸を背景とする本シリーズです。主人公の小野十兵衛(おのじゅうべえ)は加賀百万石に連なる大名家に代々仕えてきた御食事係、つまり包丁侍の末っ子で、料理よりも菓子を作るのが得意な設定。甘味好きな藩主の覚えもめでたく、将来を期待されていた十兵衛が脱藩して江戸に来たのは、主君の側室となった幼馴染みの遥香(はるか)が藩主毒殺の濡れ衣を着せられ、娘の智音(ともね)と共に幽閉されてしまったのを救うためでした。菓子作りの手練で武芸の腕も立つ十兵衛は脱藩には成功したものの、商いとして菓子を売るのは初めてのこと。江戸の片隅で家族を装って暮らしながら二人を養うために苦労する一方、国許から差し向けられる刺客と孤独な戦いを続ける十兵衛がさまざまな人物との出会いを経て、庶民に喜ばれる町の甘味屋のあるじに、そして遙香と智音の真の家族になっていくまでの物語です。

【表紙(イラスト 市川興一)】
左から順に第1巻『甘味屋十兵衛子守り剣』2012年6月刊、第2巻『殿のどら焼き』2013年4月刊、第3巻『桜夜(さくらよ)の金つば』2013年9月刊、第4巻『ご恩返しの千歳飴』2013年12月刊、第5巻『はなむけ草餅』2014年6月刊です。全5巻完結。

甘味屋十兵衛子守り剣 第1巻 甘味屋十兵衛子守り剣甘味屋十兵衛子守り剣 第2巻 殿のどら焼き甘味屋十兵衛子守り剣 第3巻 桜夜の金つば甘味屋十兵衛子守り剣 第4巻 ご恩返しの千歳飴甘味屋十兵衛子守り剣 第5巻 はなむけ草餅

色使いがとてもきれいで優しく、ホッとさせてくれる表紙です。1巻から順に見ていくと、十兵衛と共に描かれた智音の表情が巻を重ねるごとに、少しずつ柔らかくなっていくのが分かるのもいいですね。あっ、背もしっかり伸びてます(笑)。市川先生、素敵な装画をありがとうございました!